海外子会社からの資金の回収方法には、配当、ロイヤルティ、役務提供対価、機械設備・材料製品等の売却対価、貸付金利息などがあります。
この回収方法の決定にあたっては、外国子会社における税務上の取扱いが各国によって異なることを留意することになります。
この回収方法のひとつの手段として、配当がありますが、日本で採用されている外国子会社配当金益金不算入制度とは、内国法人が外国子会社から受取る配当等の額について、その内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上、益金の額に算入しないこととする制度です。
これは、海外市場で獲得した外国子会社の利益の国内への還流する環境を整備し、当該利益を必要な時期に必要な額を戻すため、平成21年の税制改正で導入されています。
具体的には、親会社が外国子会社から受取る配当の95%相当額を親会社の課税所得の計算上、益金不算入とする制度です。
外国子会社配当益金不算入制度のポイントは以下のとおりですが、特例、租税条約による場合の判定等に関する留意が必要となります。
外国子会社配当益金不算入制度を適用するため要件
・外国法人の発行済株式等の25%以上の株式を、配当等の支払義務が確定する日以前6ヶ月以上引き続き直接保有していること
・益金不算入となる金額は、配当金額の95%であり、5%は課税対象となります
・外国子会社配当益金不算入制度の適用を受けようとする受取配当金にかかる外国源泉税等は損金の額に算入することはできません。
・当該外国源泉税に関する外国税額控除も適用ができません。
〈外国子会社配当益金不算入制度の事例〉
・外国子会社の税引後利益1,500を全額日本親会社に配当するものとし、配当に関する源泉所得税は0です。
日本親会社の損益はこの配当のみで、利益は1,500である場合の日本親会社の納税額はいくらになりますか?
日本の実効税率は40%です。
(外国子会社)
外国子会社税引前利益 2,000
外国法人税(25%) 500
外国子会社税引後利益 1,500
(日本親会社の納税額)
当期利益 1,500
外国子会社配当金益金不算入 1,425(配当の95%)
課税所得金額 75
法人税等の額(40%) 30 (納税額)
【参考文献】税理士法人トーマツ「外国税額控除外国子会社配当益金不算入制度と申告書作成」(2012年、清文社)
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