2013年12月12日に、船井電機は、計約732億円の申告漏れを指摘された大阪国税局の更正処分の取り消しを求めた訴訟で、最高裁が同社の上告を受理しない決定をしたと発表しました。船井電機の敗訴が確定しました。
船井電機は「当社の主張が認められなかったことは誠に遺憾」としており、2005年と2008年、香港の子会社について、大阪国税局からタックスヘイブン(租税回避地)対策税制の適用対象になるとして、所得を本社分に合算すべきだと指摘され、船井電機は処分を不服として大阪地裁に提訴したが、地裁は訴えを棄却し、控訴した高裁でも棄却され、最高裁に上告していました。
追徴税額は延滞税などを含めて計約360億円に上りますが、06年3月期と09年3月期決算に計上しており、14年3月期の業績に与える影響はないとしています。(MSN産経ニュースからの引用)
同社の過去のプレスリリースから推察すると委託加工取引の実態が争論になったようですが、訴訟は長期にわたっており、敗訴が確定し、莫大な追徴税額の支払いがあり、過去の決算で手当済みとのことですが、相当なダメージですね。このコラムでは、このタックスヘイブン税制の適用除外要件を説明することにします。
タックスヘイブン制度の趣旨は、租税回避の防止であるため、外国関係会社がたとえ現地での租税負担が低くても、租税負担軽減のために存在しているのではなく、その存在に経済合理性があれば、適用除外となります。以下に記載する要件すべてを満たす外国関係会社は、タックスヘイブン対策税制の適用から除外されることとされています(租税特別措置法第66条の6第3項、但し、4と5は業種に応じていずれかが適用)。
1.事業基準 : 主たる事業が、株式の保有や権利の所有など、一定の事業に該当しないこと(これらの事業は、海外に子会社を設立する経済的合理性がないため)。
2.実体基準 : 主たる事業に必要な固定施設(事業所、店舗、工場など)を、本店所在地に有していること。
3.管理支配基準:その事業の管理、支配をその本店所在地国において自ら行っていること。
4.非関連者基準: 取引の過半を関連当事者以外の者と行っていること。
5.所在地国基準: 事業をその本店所在地で行っていること。
当事務所では、タックスヘイブン対策税制に対する対応策のアドバイスを行っております。お気軽にお問合せください。